ken04507

島裕一朗

気泡混合軽量土の針貫入試験に関する研究

海野隆哉

昨年度，新田らは軽量盛土体の一軸圧縮強さを簡便に推定することのできる針貫入試験を提案した．針貫入試験とは，気泡混合軽量土に針を貫入する試験であり，貫入抵抗力－貫入量関係図から得られる先端抵抗の降伏値と周面摩擦抵抗をもとにその供試体の一軸圧縮強さを推定するものである．昨年度行われた針貫入試験の条件では，針の太さ形状の検討が不十分で，供試体の配合のパターンも少ないものであった．そこで本研究では，針貫入試験の信頼性の向上と，適用範囲を広げることを目的として，以下の検討を行った．針径状の検討，周面摩擦抵抗の検討，配合を変更した場合の適用性の検討，骨材を変更した場合の適用性の検討についてそれぞれ試験を行った．
針形状の検討では，針の径をφ2～12mmまで2mm間隔に6段階に設定して針貫入試験を行い，ばらつきの少ない最適な径を検討した．また，先端の形状をこれまでの平面型に代えて，コーン型を用いて試験を行った．針貫入試験後，針直下の軽量土が圧縮され球根状になっていたことから，周面摩擦抵抗の検討では，周面が軽量土に接しない形状の針を用いて試験を行った．配合を変更した場合の適用性の検討については，一軸圧縮試験用の供試体が作製可能な範囲で空気量と水セメント比を変化させて試験を行った．骨材を変更した場合の適用性の検討については，骨材に粘土を用いた軽量土にかえ，骨材に細砂を用いて試験を行った．なお，一軸圧縮強さを推定する方法として先端抵抗の降伏値Pとquの関係を用いることとしている．
本研究で行った試験の結果，次の知見が得られた．
本試験で使用した針の中で先端抵抗を求めるにあたり，安定した結果が得られる径はφ12.0mmである．
周面摩擦抵抗と考えられてきた貫入抵抗力の増加は，針直下の軽量土の支圧効果によるものであると考えられる．
骨材に粘土を用いた軽量土の一軸圧縮強さは，空気量，水セメント比の大小に関わらず，以下の式で表すことができる．
qu=0.50P ＋75.4
ここに， qu：一軸圧縮強さ[kPa]
P：先端抵抗（降伏値）[kPa]
骨材に砂を用いた軽量土の一軸圧縮強さを推定する方法に関してはさらなる検討が必要である．