大都 亮
気泡混合軽量盛土の斜め引張強さに関する研究その2
海野 骰ニ
本研究では軽量土の耐震性能の指標となる斜め引張強さを求めることを目的として,平成13年度に行われた水平載荷試験に用いられた供試体に斜め引張応力を発生させる装置を改良し改めて試験を行うこととした.
今回行った水平載荷試験とは,鉄道盛土の1/3モデルの供試体に上載圧と水平荷重とを作用させ,装置の上下左右に設置されたせん断力発生装置を介して,2軸応力状態の下で供試体内部に斜め引張り応力を発生させ,斜め引張り破壊に至らしめるものである.平成13年度に行われた試験からは軽量土の斜め引張強さは一軸圧縮強さの約1/14という結果が得られた.しかし,平成13年度の試験に用いられた装置には,上載圧を供試体に均等に載荷できていなかった,側面のせん断力発生装置の可動部分の動きが円滑なものではなく,供試体に主要なひび割れが発生する以前に,側面のせん断力発生装置と供試体の境界付近においての鉛直方向に大きなひび割れが発生し,側面のせん断力発生装置から供試体が分離してしまったために側方のせん断力を十分に作用させることができなかったなどの問題点があった.そこで,これらの問題を改善するために今年度の試験装置には,上載圧を均等に載荷できるように装置を新規に製作し,側面のせん断力発生装置の可動部分にベアリングを取付け,供試体の分離を防ぎせん断力を十分に作用させるために側面のせん断歯の半分を延長するといった改良を加えた.その結果,側面のせん断力発生装置と供試体の境界付近において供試体は分離することはなく主要なひび割れが発生し,試験装置の改良効果が認められた.今年度はこの試験装置を用いて水平載荷試験を行い,上載圧の大小の影響,供試体強度の影響,および斜め引張強さと一軸圧縮強さの関係を明らかにした.以下に得られた知見を示す.
軽量土のせん断抵抗力および破壊形態は,上載圧と一軸圧縮強さの大小によって変化することがわかった.
気泡混合軽量土の斜め引張り強さは一軸圧縮強さの約1/11となり,平成13年度の結果と比較すると一軸圧縮強さに対する斜め引張強さの評価が大きくなるものとなった.これは,今年度は側方のせん断歯を延長したために供試体との分離が発生せず,側方のせん断力が供試体に十分に作用したためと考えられる.