Fedallisa Ahmad

三軸試験における横変位測定装置の開発とその応用

豊田浩史

微小ひずみ領域における(1%以下)土の変形特性は、都市部でのトンネルや掘削工事に伴う詳細な変形予測や地盤の動的解析に必要である。微小ひずみでは土は弾性体と仮定できる。等方性を仮定しても二つ独立な弾性係数(ヤング係数Eとポアソン比ν)が必要なので、横変位を測定する必要がある。これまで数々の研究では三軸試験において非接触型変位計を利用し、微小ひずみの変形特性が調べられた。しかし、土の軸変位測定に関する研究に比べ、横変位測定に関して研究成果があまりない。したがって、本研究では、三軸試験において、3種類の横変位測定装置を開発し、微小半径方向変位を精度よく測定できる装置を検討する。さらに、装置の精度や有為性も調べる。また、完全水浸型三軸セルを導入し、飽和土に関しても長時間試験を可能にした。
横変位測定装置を検討するために、飽和等方圧密試験と非排水せん断試験において米山粘土の微小変形を測定した。横変位測定装置type 1は供試体の側面に取り付けた二つのターゲットを,三軸セル底盤に固定された柱に設置された二つの変位計で測る仕組みである。Type 2では供試体直径を二点で挟み,供試体を取り囲んだ器具により間接的に直径の変化を測定する。そして、type 3は供試体直径を二点で挟み,直径の変化を直接器具により測定する仕組みになっている。供試体の半径方向ひずみと局所軸ひずみ関係について、得られたデータを等方性の仮定や理論値と比較することにより、横変位測定装置の精度と有為性を調べた。さらに、それぞれの種類別の結果を比較し、一番信頼できる横変位測定装置を検討した。
完全水浸型三軸セルにおいては、圧縮空気が水に溶けることを防ぐことが出来るので長時間で飽和土の試験が可能である。米山粘土の圧密終了時間が3t法によって3時間であるが、圧密終了時間を6時間、12時間、48時間に変え、土の剛性に及ぼす影響を調べた。
飽和土の等方圧密と非排水せん断試験結果によって、最も信頼できる横変位測定装置はtype 3であることがわかった。また、粘土の微小変形特性に与える圧密時間の影響が示されたので、今後その特性について詳細に検討していくことが必要である。