内山 智文

7.13水害時における刈谷田川河道内流れの数値解析

福嶋 祐介


 7月12日夜から13日にかけて日本海から東北南部にのびる梅雨前線の活動が活発化し、強い雨雲が新潟県中越地方に流れ込んできた。そのため13日朝から昼ごろにかけて新潟県中越地方の狭い範囲に集中豪雨をもたらした。栃尾市では421mm/日を記録した。

 今回の豪雨の特徴は強い雨が集中して降ったために信濃川や刈谷田川などが短時間で急激に水位が上昇したことにある。この豪雨により、刈谷田川では6箇所、中ノ島川では2箇所、五十嵐川で1箇所、猿橋川で1箇所破堤した。人的被害としては、死者が15名、重傷者が2名。住家被害としては、全壊が29棟、床上・床下浸水13289棟と大きな被害があった。

 本論文では、7.13新潟豪雨により大きな被害のあった刈谷田川を研究対象とし、水害時の刈谷田川河道内流れを不等流及び不定流であると仮定し数値解析を行い、水位観測所の観測地と比較を行い、検討する。

 まず、刈谷田川の流れを不等流であると仮定して解析を行った。はじめに断面データを入力し不等流計算を行い、各断面での水位を求める。断面データとしては、信濃川と刈谷田川合流部から上流にむかって200mおきに24.6kmとした。データ断面数は133断面である。各断面で水深を最深値と同じ一定値として、断面積から堤防幅を決定した長方形断面と仮定する。流下距離200mに対して水位の変化が大きく、不等流計算が不安定になるので、線形補正を行い、各測線間隔を10分割してデータ数を10倍にした。

 次に刈谷田川の流れを不定流であると仮定し、基礎方程式を陰型式差分法で数値解析を行った。はじめに断面データを読み取り、初期条件である水位を不等流計算で求めてから不定流計算を行う。断面データとしては、信濃川と刈谷田川合流部から上流にむかって200mおきに24.6km。データ断面数は133断面である。各断面で水深を最深値と同じ一定値として、断面積から堤防幅を決定した長方形断面と仮定する。流下距離200mに対して水位の変化が大きく、不定流計算が不安定になるので、線形補正を行い、各測線間隔を2分割してデータ数を2倍にした。

 不定流における数値解析は、水位観測所での観測値との比較とよく一致していた。しかし、水位縦断図では、破堤箇所以外でも堤防高よりも水位が高くなっている。この理由としては、破堤した箇所より流出した流量を考慮していないこと、実断面を長方形断面と仮定して計算をしたこと、境界条件である合流部の水位と流量が観測されていないため、実際の水位と流量がわからないということ、などが考えられる。