阿部 貴之

プラスチック系廃材の透水性能・保水性能と土木資材としての適用性に関する研究

丸山 暉彦


 現在、ペットボトルをはじめとするプラスチック製品は我々の生活に幅広く使用されており、欠くことのできないものとなっている。わが国の2002年度における使用済みプラスチックのリサイクル率は55%程度であり、それ以外は焼却処分や埋立処分され、環境汚染を招いているのが現状である。そこで最近では、これらのプラスチック系廃材を有効利用することを目的に土木構造物の資材として利用することが考えられている。プラスチック製品の使用済み廃材が土木施設の資材として活用されるようになれば、大量に消費することが可能となり、リサイクル率の増加に寄与する。
本研究では、プラスチック製品の廃材をペレット状に加工したものを用いて、それらの透水性能、保水性能などの基礎的なデータを収集し、クレイ系グラウンド舗装や屋上緑化施設へ適用できるかどうかを検討した。

まず、本研究の前半では、ペレットを用いた透水マットのグラウンド舗装への適用性に関する調査を行った。この透水マットとは、ペレット状に加工したプラスチック系廃材を透水性の高い不織布で包んだものである。現在、グラウンド舗装において、排水設備である暗渠管や砕石路盤が表層土の侵入によって目詰まりし、排水機能が早期に低下することが問題となっている。そこで、この現行の方式に代わる排水設備として透水マットが利用できるかどうかについて検討した。
次に、屋上緑化施設への適用性に関する調査を行った。現行の屋上緑化施設は一般的に、施工コストが1m2あたり少なくとも1〜4万円程度となる。そのため、低コストで建設できる緑化施設の開発が求められている。プラスチック系廃材を原料としたペレットは安価であり、緑化施設に用いることでそのコストを低く抑えることが可能となる。屋上は風や日差しが強いため土が乾燥しやすく、土の下層に保水層が設けられる。本研究ではペレットがどの程度保水性を有しているのかを調査し、保水層として適用化能であるかどうかを検討した。
本研究で得られた知見をまとめると以下のとおりである。
・ 透水マットを敷設した試験ヤードは施工直後から半年後までは速やかに雨水が排出される。しかし、それ以降は不織布が表層土の侵入によって目詰まりし、透水性能が低下する。したがって、不織布を目詰まりしにくいものへ改良する必要がある。
・ ペレットは優れた保水性を有しており、軽量であるため、屋上緑化施設の保水層としての適用性は高い。