東 大輔

大粒径アスファルト混合物の最適アスファルト量に関する研究

丸山 暉彦

わが国は,近年交通量の増大や車両の大型化により道路舗装の早期損傷が顕在化しており,道路ストックの増加と相まって維持修繕のための費用が道路予算を圧迫している.そのため,これまでよりも更に長期間供用できる舗装の開発が求められている.重交通路線のアスファルト舗装においては,塑性流動によるわだち掘れを原因とする修繕延長が大半を占めているのが実状である.そこで,耐流動性を重視し,骨材の良好な噛合わせで外力に抵抗する大粒径アスファルト混合物を用いる検討が行われている.しかし,既往の研究成果では耐流動性を満足に得られているとはいえず,配合設計方法は確立していないのが現状である.このような状況下,一昨年度から最大粒径30mmの骨材を用いた大粒径アスファルト混合物の配合設計法について検討を行っている.既往の研究において,粗骨材配合の検討と細骨材配合の検討を個別に行い,それぞれの配合方法において骨材が良好な骨格構造を形成するように配慮し,骨材配合を決定した.しかしながら,最適アスファルト量(以下,OAC)に関しては十分な検討がなされていなかった.
本研究では,これまで検討してきた骨材配合に適するOACを決定することで,大粒径アスファルト混合物の新たな配合設計を提案することにある.また,決定した配合設計による大粒径アスファルト混合物を用いて混合物性状を評価し,実舗装に用いるアスファルト混合物としての検証を行った.
OACを検討するにあたり,本研究の骨材配合においてアスファルト量を変化させた供試体を用いて,マーシャル安定度試験,ホイールトラッキング試験,静的曲げ試験を行い,密度,空隙率,マーシャル安定度,動的安定度,曲げ強度を測定した.これらの値を指標として,本研究におけるOACの決定に用いた.各指標においてOACを選定するためのアスファルト量の許容範囲を定め,全ての指標において満足するアスファルト量を選定した.また,それらの指標から選定したアスファルト量に,混合物に発生するひび割れや老化も考慮してOACを決定した.
次に,本研究で決定した配合設計を用いて作製した大粒径アスファルト混合物において,混合物性状の評価を行った.アスファルト混合物の評価試験として,ホイールトラッキング試験および静的曲げ試験を用いた.また,NAPAが推奨するASTM粒度範囲の大粒径アスファルト混合物においても同様の評価試験を行い,その試験結果を本研究による混合物の試験結果と比較し検討した.その結果,本研究の配合は耐流動性においては既往の配合よりも良好なことが確認された.すなわち,本研究において耐流動性に優れる大粒径アスファルト混合物の配合設計を決定することができたといえる.