大竹真紀子

リサイクルゴムを使用した高機能舗装材料の開発

丸山暉彦

わが国では,年間約1億本もの廃タイヤが発生し,そのうち約1割が野積みタイヤとなり,問題となっている.廃タイヤを使用した舗装として,廃タイヤを粉末状にしたゴム粉をストレートアスファルトと混合,熟成したバインダを使用した舗装がある.これはアスファルトラバー(AR)舗装と呼ばれ,アメリカでは既に普及し,舗装の耐久性向上などが明らかにされている.
20%以上の空隙率をもち,走行騒音や水はねの低減,視認性の改善などに効果があることから,わが国では排水性舗装が年々増加傾向にある.しかし一方で,重交通下における長期供用性や寒冷地での骨材飛散といった問題も指摘されている.これまで,改善のためにバインダの改質に焦点が向けられてきた.本研究ではこの骨材の方に目を向け,リサイクルタイヤから得られたゴムチップを骨材の一部として使用することを検討した.また,さらにARバインダを使用することで,排水性舗装の高機能化をはかる.リサイクルゴムをバインダと骨材に使用することから,リサイクル量の増加と低コスト化も期待できる.
ARバインダの特性を把握し,このARバインダおよびゴムチップを使用した混合物の検討を行った.ARバインダは,ゴム粉を加えることでせん断速度が速いほど粘度が小さくなるチクソトロピーを示し,また軟化点が上昇する.本研究で使用したARバインダは,バインダ重量比でゴム粉15%,改質剤8%をストレートアスファルトに添加したものであり,これは高粘度改質アスファルトと同等の軟化点をもつ.
このARバインダとゴムチップを使用した混合物の作製を行った.本研究で使用したゴムチップは表面加工がしてあり,表面加工のないものと比較して,骨材やアスファルトとの接着性が良い.しかし,ゴムチップを混入するとゴムの弾性により,供試体はうまく締め固められなくなり,密度の低下が見られた.
ARバインダおよびゴムチップを使用した排水性混合物の直接引張試験および圧縮試験を行い,高粘度改質アスファルトを使用した場合と比較して,その適用可能性を検討した.ARバインダを使用した混合物は,破壊時のひずみはやや低下するものの,低温時でもひずみは保たれている.また,引張強度はほぼ同等の値が得られており,重交通の比較的少ない生活道路であれば適用可能であると言える.ARバインダとゴムチップを併用した混合物は,ゴムチップを使用しているため当然圧縮強度は小さい.しかし,引張強度は比較的大きいことから,耐久性は十分にあると考えられ,低騒音舗装や凍結抑制効果への用途が期待される.