大橋 良太
変異原生成性能を指標とした全国各地の河川水及び地下水の安全性評価
小松俊哉 藤田昌一 姫野修司

現在、生活排水や工場排水による水環境の悪化が懸念されている。そこで遺伝子毒性の観点から、変異原性を評価する代表的な試験方法であるAmes変異原性試験を用いて、全国各地の19一級河川24地点の河川水及び長岡市の地下水の変異原性レベルの全国的な実態を把握した。
安全側での評価を行うため、塩素を添加した際の変異原性生成能(MFP)の測定を行った結果、TA100-S9条件で最も高感度を示し、その際の全国各地の河川水の変異原性レベルは210〜9010(net rev./L)と大きな幅を持つことが明らかになった。また、水道水の変異原性レベルにおいて重点的な対策が望ましいとされる河川は全体の13%を占めた。さらに、河川流域の人口密度の増大に対してMFPレベルも増大することが明らかとなった。また、水質項目との相関を検討したところDOC、E260との間にある程度の正の相関が認められた。長岡市の地下水は検出限界以下となったことから、変異原性の観点から極めて安全性の高い地下水であることが明らかとなった。