伊藤昌宏

エアーリフト式亜硝酸型硝化リアクター担体の機能解析

大橋晶良, 原田秀樹, 井町寛之

ANAMMOX細菌を用いた生物学的窒素除去法を効率よく実用排水に適用するためにはアンモニア性窒素の約半量を亜硝酸にする必要がある。通常の硝化反応ではアンモニア性窒素は硝酸性窒素まで完全酸化されるため亜硝酸性窒素は蓄積することが無い。このため亜硝酸型硝化を維持管理することが必要となる。共同研究させていただいた栗田工業株式会社も亜硝酸型硝化の研究を進めている。独自の研究でIC濃度と緩衝作用のどちらかが亜硝酸型硝化に関与していると考えられる結果を得ている。本研究はリアクター担体の解析によって上記のような結果を検証することが目的である。
本研究で用いた装置および担体は栗田工業から借用した。リアクターはエアーリフト式で容積は3L、担体は3mm角のスポンジである。担体の充填量は体積で1Lとした。流入のアンモニア濃度は500mgN/L、流量13〜14L/day、温度は35℃、pHはpHコントローラで7.5に維持し、エアー量は1.2〜2.0L/min、アンモニア濃度は槽負荷として2.0〜2.5gNH4+-N/L/dayとなるようにした。アルカリ添加剤は重炭酸ナトリウムを用いた。
栗田工業と同じリアクター条件下で運転と測定を続けた結果、アンモニア性窒素が減少するにつれて亜硝酸性窒素が増加するが硝酸性窒素の増加は見られなかった。これにより栗田工業と同じリアクター条件下での亜硝酸型硝化の再現性が確認された。また、アルカリ添加剤を重炭酸ナトリウムからリン酸水素二ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液に切り替えて測定を行った場合にも亜硝酸型硝化が維持されることが確認された。これによりIC濃度は亜硝酸型硝化に関係ないことが判明した。担体の解析は微小電極で行った。水酸化ナトリウムのみの対照実験が終了していないため確実とは言えないが、重炭酸ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合溶液を用いた場合の担体内部のpH変化は小さく緩衝作用があることが示唆された。緩衝作用と亜硝酸型硝化の関係は前述の通り水酸化ナトリウムを用いた対照実験を終えていないため不明である。
今後時間が許す限り終了していない実験を行う予定である。