本田 広司

MODISデータによる森林被覆率推定値の最適利用に関する研究

向井幸男、力丸 厚


近年における地球規模での森林資源減少は深刻な問題となっており、より正確な森林資源情報把握とともに、地球規模での効率的な観測が求められている。森林減少問題については、1997年に気候変動枠組み条約第三回締約国会合(COP3)において京都議定書が採択されることで、その注目度が一気に高まった。

グローバルな森林資源観測においては、同時広域性・周期性・広域波長域の電磁波利用という特徴を持つ、広域高頻度観測衛星データの利用が観測諸条件及び経済性から必須と考えられている。しかしながら、広域高頻度観測衛星における既往の研究では、中分解能及び高分解能衛星の教師データが必要となり、広域高頻度観測衛星の利点を活かしきれていない。

そこで、本研究においてはTERRA/MODISデータによる森林資源情報の最適利用を目的とし、TERRA/MODIS データから得られた森林資源情報の検証を行なう。その後、中分解能及び高分解能衛星の教師データを必要としない、森林資源観測結果の妥当性自己診断手法の開発を検討する。解析内容としては、SPOT5/HRG Multi spectral データ、LANDSAT7-ETM+データ、TERRA/MODISデータに森林樹冠密度(FCD)推定値モデルを適用し、森林資源情報を算出する。その後、空中写真データを現地調査データとしてSPOT5/HRG Multi spectral データ、LANDSAT7-ETM+データとの比較を行ない、最終的に、LANDSAT7-ETM+データとの比較によりTERRA/MODISデータの森林資源情報の検証を行なう。次に、TERRA/MODISデータの森林資源情報の算出結果の信頼性をTERRA/MODISデータ自身で診断する自己診断手法について検討する。ここでは、自己診断のためのTERRA/MODISデータの要素として、昼夜地表面温度差データを用いる。この昼夜地表面温度差データと森林資源情報の関係を調べ、自己診断手法の可能性を検討する。

以上の解析結果により、TERRA/MODIS データ及び、SPOT5/HRG Multi spectral データ、LANDSAT7-ETM+データにおける森林資源情報把握結果の検証を行なったところ、その結果が有効であることが示唆された。また、TERRA/MODISデータにおける森林資源情報の自己診断手法の妥当性が示唆された。