大井川 可奈

豪雨時の広域雨量解析値を用いた複数小河川流域での雨量の相互比較について

熊倉 俊郎

2004年7月12日から13日にかけて、新潟・福島に大きな豪雨が観測された。新潟地域では、合計11箇所が破堤し死者15名を出した。新潟福島豪雨の特色は、1日スケールで継続した強雨があり、それが五十嵐川と刈谷田川流域の山間部で観測されていて、その結果、それぞれの流域の出口となる三条市と見附市では、大きな浸水被害を受けている。また、この豪雨では、アメダス観測点日雨量の記録更新が新潟と福島で、9点と5点あり、その更新幅は互いに約1.5倍であったのに、床上・床下浸水を併せた洪水被害棟数は、新潟県が13128棟なのに対し福島県が98棟と1/100程度であった。そこで、被害の大きかった新潟五十嵐川・刈谷田川流域とほぼ同じ面積に分けた福島県会津地方のいくつかの流域で、流域平均雨量を求め、五十嵐川流域と福島側流域で比較した。ここで、新潟県から福島県にかけては山岳域であり、地上雨量観測点が少ないため、レーダー観測は結果を用いなければならない。しかし、レーダー観測は雨量の絶対値が地上観測と若干異なる。よって、基にする雨量水平分布は、地上観測雨量でレーダー雨量を補正した補正レーダー雨量とした。結果は、福島側流域での13日積算降雨量は251.6mm、五十嵐川流域で379.0mmあり、福島は新潟より33.6%小さかった。また、1時間最大雨量は、それぞれ32.0mm/hourと53.6mm/hourの差があった。さらに、ピーク前3時間分の積算雨量は、72.0mmと91.7mmでありその差は約2割に対し、ピーク前3時間内の雨量増加は、14.9mmと41.9mmでその差は約6割あった。以上より、福島は新潟よりも強雨ではなく、短時間且つ集中的なものでもなかったことがわかった。