佐藤 猛

中小河川におけるダムの早期放流に関する検討

陸 旻皎

 
2004年7月12日から13日にかけて新潟県や福島県で大きな豪雨が発生した。この豪雨によって五十嵐川、刈谷田川を中心に甚大な被害をもたらした。このような洪水の防御を考えるときには河道によって洪水を処理する方式と、河道の途中で洪水を貯留することにより洪水を調節する方式の2つがある。五十嵐川、刈谷田川において前者は市街地を流下するため長い年月と莫大な費用がかかることが予想される。それに比べ後者ではダム施設がすでに存在するため、このダムが洪水防御を考える際に大きな意味を持つことになる。
そこで本研究では、五十嵐川、刈谷田川について平成16年新潟、福島豪雨で洪水防御の観点からダムにどのような効果があったのかを把握し、今後このような洪水が発生する可能性を考慮し、ダムの管理、運用に関して洪水防御方法のひとつである早期放流についてその効果を明らかにすることを目的としている。
検討を行なった結果、平成16年新潟、福島豪雨ではダムが存在することによって大幅に被害を軽減していることが確認できた。しかし、ダムの洪水調整能力を上回る豪雨であったために洪水調節機能を果たせなくなり被害が拡大したことも確認できた。また、早期放流を行なったとしてダムの洪水調節容量を最大まで増やしてみたところ、ダムが溢れることはなく洪水が終わるまでの間洪水調節効果を発揮していたことから、確実に被害を軽減している。このことから、ダムの早期放流は洪水に対し有効な手段であることが確認できた。