渡邊 章吾

有限要素法における2次元弾性体要素の精度に関する研究

岩崎 英治

有限要素法では構造物を解析する際、部材が非圧縮状態に近くなったり、非常に細長くなると、極度に精度が落ちることがある。これがロッキングと呼ばれる現象である。ロッキングは有限要素のつりあい式となる剛性方程式の剛性を過大評価してしまうことによって生じる精度低下である。このロッキングについても大きく2つに分けることができ、一つは部材の非圧縮性によって起こる体積ロッキング、もう一つは、非常に細長い梁を解析した時にせん断ひずみが拘束され発生するせん断ロッキングである。このような精度低下を避けるために低減積分法という積分方法がある。これは、解析の際、剛性行列の積分点よりも一つ少ない積分点で積分する方法である。低減積分法によって、うまく非圧縮による拘束や、せん断ひずみの拘束を回避できるが、このような低減積分を行ったときには、ゼロエネルギーモードと呼ばれるひずみエネルギーに含まれない変形モードを生じることがある。このようなゼロエネルギーモードを含んだ剛性行列は、解が得られなかったり、解が得られても、特異な変形モードが生じたりする。そこで,本研究では、4節点、8節点、9節点四辺形要素において、各要素の変形モード毎のひずみを調べ、数値計算によって、ゼロエネルギーモードの数と形状を導いた。また、低減積分時における、極端に短い梁でのゼロエネルギーモードの発生状況を調べ、短い梁ではゼロエネルギーモードによる特異な変形状態が表れることがあり、大きな誤差を生むことが分かった。