新田 昭彦

気泡混合軽量土の斜め引張り強さに関する研究

海野 隆哉


 気泡混合軽量土は,その軽量性と施工性の良さから軟弱地盤上や都市部などの狭隘な箇所において主に盛土材として使用されており,鉄道や道路などの社会交通基盤を支えている.そのため,気泡混合軽量盛土が地震の影響により破壊され本来有するべき機能を失った場合,社会に与える被害は甚大なものとなることが予想され,その耐震性の評価が盛土を設計・施工する上で重要であると言える.本研究では,気泡混合軽量土の耐震性の指標となる斜め引張り強さを求めることを目的とし,直方体供試体の平行する四辺にせん断応力を作用させ,さらに垂直応力を作用させることができる試験装置を作製し,純せん断試験を行った.また,気泡混合軽量土の一軸圧縮強さを推定する新たな方法として針貫入試験も併せて行った.

 針貫入試験とは気泡混合軽量土に針を貫入する試験であり,貫入抵抗力−貫入量関係図から得られる力学的係数をもとにその試料の一軸圧縮強さを推定しようとするものである.そのため,試料が所定の一軸圧縮試験供試体寸法および形状とは異なっていてもその一軸圧縮強さを推定することができる.試験の結果,気泡混合軽量土の一軸圧縮強さは,針の先端抵抗および周面摩擦力によって推定できることがわかった.

 純せん断試験とは,直方体供試体の平行する四辺にせん断応力を作用させることにより供試体内部に均一なせん断応力と斜め引張り応力を発生させ,斜め引張り破壊に至らしめるものである.本研究では,鉄道盛土として一般的に使用されている目標一軸圧縮強さ1500kN/m2配合により作製した供試体に対して試験を行った.その際,垂直応力を8,40,70,110,155kN/m2作用させた.その結果,垂直応力の増加にともない供試体破壊時のせん断応力は大きくなる傾向を示し,供試体はすべて斜め引張り破壊した.したがって,供試体破壊時の垂直応力とせん断応力から供試体の斜め引張り強さを算定すると,すべての垂直応力において斜め引張り強さは200kN/m2程度となった.本研究では,純せん断試験後の供試体の砕片に対して上述の針貫入試験を行い,その一軸圧縮強さの推定を行った.そして,針貫入試験により推定した一軸圧縮強さと斜め引張り強さを比較した結果,斜め引張り強さは一軸圧縮強さの1/5〜1/7程度であることがわかった.