和田 広海

再生アスファルト混合物の長期供用性に関する研究

丸山 暉彦

1992年に刊行されたプラント再生舗装技術指針によれば,再生混合物は新規混合物と同等に扱ってよいとしており,作製直後の再生混合物のマーシャル安定度や耐流動性は新規混合物よりも優れるという結果が報告されている.しかしながら,一般的に低温時における再生混合物のバインダの柔軟性が低下する傾向がみられることから,疲労抵抗性に問題があると思われる.また,再生用添加剤がどの程度効果を持続するのか確認されていないのが現状である.
そこで本研究では,再生混合物の長期供用性や再生用添加剤の長期的な持続効果を確認すべく,再生廃材混入率や再生用添加剤の有無などの諸条件を変化させた数種類の再生アスファルト混合物を作製し,長期間(48ヶ月間)にわたって屋外に暴露して劣化させた.そして,事前に定めた暴露期間を経過したものからそれらをカットし,混合物性状試験として繰返し曲げ試験,静的曲げ試験,カンタブロ試験,回収したバインダの性状試験として針入度試験,軟化点試験を行った.得られた結果を,新規混合物のものと相対的に比較することで,再生混合物の長期供用性や再生用添加剤の効果について検討した.
再生用添加剤を用いた再生混合物の場合,再生骨材混入率40%以内の再生混合物中のバインダ性状,曲げ特性,疲労特性は,暴露48ヶ月が経過しても新規混合物と同等の性能を有することが明らかとなった.また,カンタブロ試験により得られた骨材飛散抵抗性は,再生材混入率が多い,すなわち再生用添加剤の添加量が多いほど骨材飛散抵抗性に優れることが明らかとなり,再生用添加剤の効果が暴露48ヶ月まで持続しているといえる.
新アスファルトのみを用いた再生混合物の場合,再生混合物中のバインダ性状は作製直後から新規混合物と比べて劣るため,加熱混合時の劣化も考慮した新アスファルトの選定,および配合設計が必要であるということがわかった.
以上の事項から,再生混合物は,長期供用性に問題があるのではないかと懸念されていたが,プラント再生舗装技術指針に示されている配合設計に準拠し,旧アスファルトの成分組成に適合した再生用添加剤の選定,およびその添加量を決定すれば再生骨材混入率40%以内の範囲で新規混合物と同等のバインダ性状,曲げ特性,疲労特性,骨材飛散抵抗性が得られることが明らかとなった.