川口淳史

大粒径アスファルト混合物における細骨材分の配合割合に関する検討

高橋修

近年,交通量の増加と車両の大型化に伴い修繕を必要とするわだち掘れの増加が問題となっている.このようなアスファルトコンクリート層の流動変形によるわだち掘れの解決策として,アスファルトバインダーの改善,良質な骨材の使用,骨材粒度の改善等が挙げられる.しかし,前者二つにおいては,コスト面や供給面等の点で問題があるため,粒度の改善が最も有効であるとして,昨年度,笠原が最大粒径30mmの4号骨材を使用した耐流動に優れる大粒径アスファルト混合物の配合設計を検討した.粗骨材と細骨材を個別に検討し,粗骨材においては4号骨材が多く,且つ骨材充填率の高い配合が骨格構造の良い配合と考えた.そして,粗骨材の良好な骨格構造を得るためには,4号骨材と7号骨材の配合,および4号骨材と6号骨材の配合が最も良いことを明らかにした.しかしながら,細骨材については検討の余地があったため,本検討では粗骨材の骨格構造を崩さない前述の配合において,最適な細骨材分の配合割合に関する検討を行い,耐流動に優れる大粒径アスファルト混合物の配合設計を確立することを目的としている.笠原の粗骨材の配合割合を変えずに,最小粒径粗骨材の間隙に粒径の大きい細骨材から配合していき,骨材充填率が高く,且つ最小粒径粗骨材の全体に占める割合が大きくなる配合が粗骨材の骨格構造を崩さない最適な細骨材割合として検討を行った.
配合を行っていく際に,砕砂と粗砂の粒度がほぼ同じであった.砕砂は人工骨材であるため天然砂に比べ扁平であり,既往の研究で耐流動に優れる細骨材であることが分かっている.そこで,本検討では粗砂を用いず,砕砂を用いることとした.その結果4号骨材と7号骨材の配合では細砂と石粉,4号骨材と6号骨材の配合では砕砂と石粉を配合することが適切であった.決定した配合について,密度と骨材間隙率を評価基準としてそれぞれ最適アスファルト量の選定を行い,その後決定した配合を基に耐流動性を評価するホイールトラッキング試験を行った.その結果,それぞれの配合において高い耐流動性が得られ,既往の配合は勿論のこと,笠原の配合よりも耐流動性に優れる大粒径アスファルト混合物の配合であった.以上の検討から,笠原の粗骨材配合に対して最適な細骨材を選定することができ,既往の配合設計法で配合したものよりも耐流動性が高く,耐久性に優れた大粒径アスファルト混合物を製造することができた.