服部慎介
中心市街地における土地・建物権利関係と建物利用の流動性に関する研究
中出文平 樋口秀
中心市街地衰退の一要因として建物利用の流動性の低さに着目した。流動性を阻害している要因として土地・建物権利関係の複雑化や不在地主の存在が通説とされているが、定量的なデータを示す研究はない。そこで本研究では土地・建物権利関係が建物利用及びその変化に対してどのような影響を及ぼしているのかを明らかにすることを目的とする。
中心市街地には不在地主はあまり多く存在せず、単純・複雑化した権利関係も約50%ずつ存在した。また、建物利用の10年間の動向より、建物利用の流動性は低下していることが分かった。これより、権利関係と建物利用の流動性の間に顕著な相関は見られないことが分かった。
中心市街地では単純で市内に住所を置いている地権者の活性化に対する理解と協力が必要であり、地権者全体で中心市街地の今後を考えていく必要があることを示した。