氏名 松浦 将雄
論文題目 繊維補強発泡ウレタン(FFU)のリサイクルに関する研究
指導教官 丸山 久一
本研究に用いたFFU(Fiber reinforce Foamed Urethane)は,熱硬化性樹脂発砲体
(硬質ウレタン樹脂)をガラス長繊維で強化した材料である。本研究では,発生した
FFU端材を粉砕機によってチップ状にし、焼却することなく再利用する方法について
検討を行った。チップ状廃材を基本材料として,新たに人工木材としてまくら木に
使用することを目的とし,製造した部材の曲げ物性の検討を行った。特に,結合樹脂の使用量,
部材の比重,チップの配向性を主なパラメータとして物性の評価を行うこととした。
供試体の作製は,チップに樹脂を噴霧した後型枠に詰め,高温・高圧下でプレスして行った。
まず,供試体作製方法に関して,材料設計の検討を行った。検討要因として,樹脂の単位量,
供試体の比重,チップの長さを重要なパラメータとし,各要因と曲げ強度との関係を検討した。
材料設計の検討後,曲げ特性の検討として,供試体L・Sを用いた静的曲げ試験を行い,
寸法と強度の関係を検討した。また,供試体Lを用いて疲労試験を行い,疲労強度の検討を行った。
耐候性の検討では,耐水性・耐薬品性・耐光性について,浸漬・照射試験を行った。
供試体物性への影響やFFU部材との物性の比較を併せて行った。
実験の結果,得られた結論を以下に要約する。
設計条件と曲げ強度との関係について,@強度・経済性を考慮した場合,樹脂の単位量は
0.1〜0.15程度が適当である。Aチップは一定の方向に揃えるべきである。Bチップを揃えて
作製した供試体の強度は,比重と樹脂量に影響されるC切粉は,樹脂使用量の増加,
比重と強度低下の原因となるため,できる限り除去するべきである。
曲げ特性については,@供試体寸法が大となることで,比重の増加による曲げ強度の増加率は
低下する。A荷重の繰り返し載荷による疲労強度は,コンクリートよりも小さい。
耐水性については,@水中への浸漬によって供試体寸法および質量は増加し,曲げ強度は
わずかに低下する。A浸水後は,チップの吸水性がそれぞれに異なるため,強度のばらつきが
大となる。耐薬品性は,HCl・NaOHへの浸漬によって,強度物性は低下する。特にHClへの
浸漬による物性の低下が大きい。耐光性試験では,最大2000時間の照射試験を行ったが,
今回の実験範囲内では強度物性への影響はほとんど認められなかった。