藪内めぐみ
地盤材料の分岐挙動における塑性流動則の関連性の影響と分岐解析手法に関する研究
指導教官 鳥居邦夫
地盤実験で地盤材料の破壊過程において材料の変形や局所化は分岐に起因し,分岐の発生は材料の構成式の塑性流動則による影響が大きい.
一般に既存の分岐の研究では,関連型の塑性流動則を用いているが,地盤材料のマクロ的力学挙動の精度に限界があり,より実モデルに近い
非関連型を用いる必要性が問われている.
だが非関連型を用いた場合,どの程度分岐挙動に影響を及ぼすかは明確ではない.
そこで塑性流動則の違いが分岐挙動に対してどのような影響を及ぼすのかを調べることを本研究の目的とした.
しかし,分岐解析手法が確立されていない接線剛性行列が非対称になりうることがあるため,従来の完全系分岐解析を行うことが出来ない.
そこで代替的な解析手法として,供試体に初期不整を与え,分岐挙動を近似的に評価する擬似分岐解析を用いた.
この解析結果より,荷重-変位関係や変形形態,局所的な視点で物理的な性質を比較した.また,最大荷重と初期不整の関係より
完全系分岐荷重を比較した.
その結果,予測した分岐荷重は全ケースにおいて関連型のほうが20%程度大きく初期不整が大きいほど最大荷重は小さくなった.
また,分岐挙動は非関連型のほうが早い変形段階で分岐を生じた.また荷重-変位関係よりその挙動は,全モードと通じて関連型より
非関連型の方が軸ひずみに対する軸荷重は小さくなった.次に変形形状をみると関連型と非関連型で形状は異なり,ほとんどのケースで
非関連型のほうがせん断ひずみが明確で,せん断ひずみの分布をみるとせん断帯の幅が小さくなっていた.
また,せん断ひずみのレベルは関連型のほうが大きいこともわかった.
さらに局所的な視点で等方応力や偏差応力,体積ひずみや偏差ひずみといった力学的な関係を調べると,非関連型のほうが偏差ひずみに
対する偏差応力の減少が大きく,また塑性変形が大きく進展していることや,体積変化が小さいことがわかった.
これらの結果から,塑性流動則の相違は分岐挙動に対し影響を及ぼすことがわかった.具体的には,非関連型のほうが局所化の進展が顕著で分岐も早い段階で生ずることである.