道路研究室 石塚 良一
ペットボトル廃材を用いた透水マットの屋外体育施設への適用性に関する研究
指導教官 高橋 修
現在、ペットボトル製品は私たちの生活のいたるところで使用されており、その生産量
は年々飛躍的に増加している。しかし、ペットボトルのリサイクル率は低く、使用済みペ
ットボトルが山積みになっている現状である。また同時に、屋外体育施設であるグラウン
ド舗装において、排水設備である暗渠管の目詰まりによる排水機能の早期低下が問題とな
っている。そこで、未処理のペットボトルを排水材として活用する目的で、現在ペットボ
トル廃材を用いた透水マットの開発がされている。これは、ペットボトルをペレット状に
加工しそれを不織布で包んだものである。
この透水マットは優れた透水性を有しているので、グラウンドの下層に埋設した場合、
高い排水機能を長期間持続させることができると考えられている。さらに、透水マットは
ペットボトルのペレットを不織布で包んだものであるので、表層土による目詰まりを起こ
しにくく、現行の排水設備の欠点を克服できるものと期待されている。
透水マットを敷設したグラウンドに要求される主な性能は、体育施設として十分な支持
力と雨天時に良好なコンディションを維持できる水はけの良さであると考え、本研究では
支持力性能と透水性能の2点に着目し調査を行った。これらの性能に影響を与える要因と
して、透水マットの厚さとその上に覆土される表層土の厚さが挙げられる。例えば、表層
土を厚くすれば支持力は向上するが透水性は低下してしまうだろう。そこで本研究では屋
外に60m2弱の試験ヤードを建設し、表層土と透水マットの厚さを何通りか変化させた場合
に透水性能・支持力性能がどの程度変わるのかを調べることにした。
試験および調査結果をまとめると以下のようになる。
・透水マットを敷設したグラウンドは、雨天時に水たまりができることもなく水はけは良
好である。透水マットと表層土の厚さが透水性能に与える影響は少ない。
・透水マット自体は細かいペットボトル粒子の集合体であり、不定形なものである。した
がって透水マットを敷設すると支持力が著しく低下し、既設のグラウンドと比較しても
満足な支持力を有しているとは言いがたい。
今回は、透水マットの上に覆土される表層土の厚さを最大20cmとして試験を行ったが、
表層土をより厚くすることによって満足な支持力を得ることができるかもしれない。また、
地中に埋設した透水マットの長期耐久性など、上記2点以外の性能については評価を行っ
ておらず、さらに冬季冠雪のためデータの量が少なかった。したがって、透水マットの実
用にはさらなるデータの採取が必要である。