笠原 祐介
ジャイレトリーコンパクタを用いた大粒径アスファルト混合物の配合設計に関する検討
高橋 修
近年、舗装においてわだち掘れが多発し、修繕を必要とする舗装の増加が問題になっている。わだち掘れは、主に夏季にアスファルト舗装が塑性流動することによって形成される。本研究では、これを防止するために、通常の密粒度アスファルト混合物よりも最大粒径が大きな骨材を使用することや、配合面の検討を行うことで、耐流動性に優れた大粒径アスファルト混合物(以下大粒径混合物)を作製するとともに、その配合設計法を提案することを目的とした。
配合設計においては耐流動性を高めるために粗骨材配合と細骨材配合および最適アスファルト量の検討を個別に行った。また、その際の供試体作製には、実施工での転圧状況を再現できるジャイレトリーコンパクタを適用した。
粗骨材粒度は、粗骨材同士が、良好な骨格構造を形成するように配合を行った。材料は4号、5号、6号、7号骨材を用い、それらを大きな粒径順に組み合わせていくことで粗骨材充填率がなるべく高くなるように、また、最大粒径骨材である4号骨材の体積割合がなるべく多くなるように配合を行った。その際、5号骨材は4号骨材の骨格構造を崩すこと、6号骨材配合後の7号骨材はこれまでの粗骨材の骨格構造を崩すことが確認された。結果として4号骨材と7号骨材、また、4号骨材と6号骨材の組み合わせといった不連続粒度型の粗骨材配合を得た。
細骨材の配合は、粗骨材配合で得られた粒度と細骨材およびアスファルトバインダーを混合したアスファルト混合物の状態で評価を行った。評価指標には作製された供試体のかさ密度と骨材間隙率を用い、細骨材とアスファルトを粗骨材の骨格構造を崩さない程度に配合した。また、供試体を作製する際に、事前に最適アスファルト量に近くなるような試験アスファルト量を細骨材のみの最適アスファルト量と粗骨材を被膜するアスファルト量を検討することによって求め、試験条件の簡略化を図った。その結果決定した細骨材量と最適アスファルト量について、供試体に占める体積割合を検討したところ、粗骨材の骨格構造を崩さない適量であることが確認された。
配合設計が終了した後、本研究の配合と既往の配合設計法で配合した大粒径混合物において、ホイールトラッキング試験とラベリング試験を実施し、耐流動性と耐摩耗性を比較した。その結果、本研究の配合設計で作製した大粒径混合物のほうが、両性状ともに良好な結果であった。
以上の検討から、本研究での配合設計の妥当性が確認され、既往の配合設計法で配合したものよりも耐流動性が高く、耐久性に優れた大粒径混合物を作製することができた。