荒生 隼一

地方都市の中心市街地活性化のあり方に関する研究 −シェイプアップ・マイタウン計画に着目して−

中出 文平  樋口 秀


 近年、中心市街地の衰退が問題視され、1998年に「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律」が施行された。しかし、これ以前に中心市街地の魅力が低下している都市を対象に、旧建設省では「シェイプアップ・マイタウン計画」を制定し、26都市を事業認定都市とした。各26都市が認定後約15年間、中心市街地活性化を目指し事業を行ってきている。しかし、この26都市の殆どが中心市街地活性化基本計画を策定している。このことから、本計画のみでは中心市街地の衰退を防ぐことができなかったことが予想される。そこで、本研究では、この計画に視点を絞り、シェイプアップ・マイタウン計画事業の特性と事業の効果、問題点を把握する。そのうえで、地方都市における今後必要とされる市街地整備のあり方を検討することを研究の目的とした。
まず、本計画が認定された26都市を対象にアンケート調査及び中心市街地整備に関係する計画書の提供を依頼し、シェイプアップ・マイタウン計画の特性、問題点を分析した。次に本計画の詳細を明らかにするため、人口規模が異なり、いずれも各県の第2の都市である長岡市、高岡市、小松市、武生市に対し現地調査とヒアリング調査を行った。
アンケート結果より、中心市街地への定住人口の確保ができていない都市が殆どであった。また、これが中心市街地衰退の大きな原因と考えている都市が多く、今後行うべき市街地整備の重要課題と考えている都市も多いことがわかった。この事を踏まえ、各都市のシェイプアップ・マイタウン計画の計画書を読み込んだところ具体的な事業を盛り込んだ都市が少なく、計画された各種事業が完成するに伴い、定住人口が確保できると考えていた都市が多かった。それに対し、中心市街地活性化基本計画にでは居住系の事業が多く計画され、計画内容も具体的かつ緻密に記載されていた。このことからも現在、中心市街地の定住人口の確保は重要な課題であることが窺える。
また、郊外部での開発が中心市街地衰退の最大要因にもかかわらず、今後の計画において規制する意図がないと答えた都市が殆どであった。
ヒアリング結果からは中心市街地は郊外整備に比べ初期投資が大きいこと、用地買収が困難であることが計画推進上の問題点として挙げられた。また、市長、議員の理解、地権者、商業者の問題意識、中心市街地関係者の結びつきの度合いにより計画推進に大きな影響が出ていることが判明した。