三間規子

ミクロ交通シミュレーションモデルを用いたバス優先施策の評価

指導教官 松本 昌二

モータリゼーションの進行により、道路交通量が大幅に増加し、交通渋滞が発生している。これまでは、交通施設整備のようなハード面での解決法がとられていたが公共事業予算の削減や社会環境への配慮などにより、ハード面での解決は困難になってきた。バス交通には交通需要抑制および環境負荷低下等の効果があり、交通問題の緩和に大きな効果をあげることが期待される。しかしながら、バス利用者数は、依然減少しており、バス交通サービス向上が早急に求められている。

 本研究では、バス交通サービス向上の一つとして、バス交通の旅行時間削減を目的としたバス優先施策に着目し、車両一台毎を表現するミクロ交通シミュレーションモデルより、施策評価を検討することにした。本研究で使用するミクロ交通シミュレーションモデルは、本研究室が2年前に開発したモデルをベースとして、特にバスの挙動部分を改良し、バス優先施策導入の効果を検証する。

 バス優先施策を評価する対象地域として、通勤時間帯に激しい交通渋滞が生じる長岡市の信濃川をはさんだを約5.5km×3.0Kmを選定した。対象とするバス優先施策は、バス専用レーン、バス優先信号制御、流入制限信号制御の3施策である。バス専用レーンとしては、バス以外の車両は右左折を除き、通行してはいけないという方式をとった。バス優先信号は、バスが交差点付近に接近すると、青時間を延長したりして、交差点での信号待ち時間を減少させる制御である。流入制限信号制御は、下流にボトルネックがある場合、上流交差点の信号制御によって、流入交通量を調節し、バス交通を優先的に通過させるものである。
バス優先施策の設置場所は、バス優先レーンを長生橋西側の通り、バス優先信号制御を長生橋西詰めの交差点、流入制限は長生橋橋梁部で行う。そのパターンは、施策なし、バス専用レーンのみ、3施策を組み合わせたものである。

  施策なしのときでは、バスと車の走行時間に大差はなかったが、バス専用レーンを設置されている場合は、バスが専用レーンに流入すると、バスの方が車より早く走行でき、車両との距離も徐々に開いていく。その施策に長生橋西詰めのバス優先信号制御、長生橋橋梁部の流入制限が加わると、バスと車両の差はさらに大きくなり、3施策全ての組み合わせが、バス交通の旅行時間削減において最も大きい効果となった。