保科 敏弘
Landsat-TMデータを用いた土地被覆と地表面温度の関係の考察
指導教官 向井 幸男 力丸 厚 高橋 一義
都市部などの局所的な気温の上昇には土地被覆状態が要因のひとつとして挙げられている。現在、土地被覆状態と地表面温度の関係を把握することにより、地表面温度の上昇を緩和する試みが行われている。地表面熱収支において、蒸発による潜熱、顕熱、地中伝導熱地表面のアルベード量は、地表面状態に要因がある。このように地表面温度と土地被覆状態には深い関係が存在する。その関係を式として表し、土地被覆状態の変化に伴う地表面温度の変化の様子を考察、推測する事を行った。
本研究では1999年8月1日における長岡市周辺のデータから地表面温度を周辺土地被覆割合によって算出することのできる関係式を、Landsat5-TMデータを用いて土地被覆割合と地表面温度の関係式を、最小二乗法により導出した。その導出した関係式から温度推定画像を作成、観測温度画像との比較を行い、その関係式がどのような要因において利用できないかを考察することによって、長岡市における熱特性の地域要因を推測することができた。その結果、熱推定関係式は、山陰(地形)による地表面温度の違い、植生の相対的量の違い、人工排熱量の違いによる要因が含まれなかった。
その後、土地被覆状態の変化に伴う土地表面温度の変化の様子を、局所領域内における土地被覆割合変化により、定量的に把握する試みを行った。
本研究において土地被覆割合の変化による対象領域内の地表面温度変化の様子を定量的把握が可能となったが、標高・斜面等の地理的要因、撮影時の気候条件を考慮することによって、より信用性の高いモデルの構築ができ、土地被覆状態でなく、指標値と地表面温度の関係から推定モデルを構築する方法によって解析を行う方法も考えられる。本研究を発展させることにより、土地被覆状態の変化に伴う地表面温度の変化の様子を推測し、被覆状態が要因となる都市熱発生抑制に貢献できると期待される。