玉木大輔

気象要素の水平分布と長岡市の降積雪状況との関係に関する研究

早川典生

これまで冬季日本海側地域の気象に関して多くの研究が行われてきたが、1シーズンの最大積雪深・季節の総降雪水量に代表されるような1シーズンにわたる降積雪状況の関係はよく解明されていない。よって本研究は長岡市の降積雪状況と各気象要素との相関関係を求め、その水平分布から年間降積雪状況がどのように深く関係しているかを調べる。
今までの研究から、長岡市の年最大積雪深と日本海上の気温・風速との相関関係に関して調べ、気温・風速は12〜3月平均よりも1〜2月平均のほうが相関は高いことがわかった。本研究では、長岡市の年最大積雪深・年間降雪水量とアジア全域の気温・風速1〜2月平均との相関関係を求め、その水平分布から関係を調べた。
長岡市の年間降雪水量とアジア全域の気温、長岡市の年最大積雪深とアジア全域の気温との関係からわかったことは、アジアの気温は朝鮮半島付近において寒気と深い関係があり、寒気団の勢力はその年の降積雪状況に深い大きな影響を及ぼすということである。同様に長岡市の年間降雪水量とアジア全域の風速、長岡市の年最大積雪深とアジア全域の風速との関係からわかったことは、アジアの風速と偏西風は深い影響を持っており、その風の帯がどこに位置するかにより降積雪状況は決定することがわかった。ここで年間降雪水量と年最大積雪深との違いは、年間降雪水量が1シーズンにおける総量に対して年最大積雪深は1シーズンにおける最大値である。つまり、少ない降雪水量でも集中的に降り続ければ年最大積雪深は高くなり、逆に多い降雪水量でも連続的に降らなければ年最大積雪深は低くなる。よって年間降雪水量よりも様々な要素・条件が関わってくるのである。このため気温・風速ともに、年間降雪水量との相関係数よりも年最大積雪深の相関係数は全体的に下回る分布となった。
この相関係数の水平分布を用いて、12月平均気温から今年の年最大積雪深の予測を行った。ここから長岡雪氷防災研究所の実測値と本研究の予測値とを比較したところ、予測値とほぼ等しくなった。しかし、検定から誤差が100(cm)以上となり、単相関からの予測式は誤差が大きい結果となった。よって誤差の問題を改善するためには、単相関ではなく重相関により予測式を求めることが重要である。