田之脇 潤

気象数値モデルに組み込み可能な積雪圧密融雪モデルの開発と検証

早川 典生

雪を有効利用・防災管理するために、積雪量とその水平分布を知ることが重要であるが、積雪の多い山地での積雪観測を広域で行うのは困難であるため、モデルによる再現・予測が必要となる。
降雪の再現・予測には気象数値モデルが必要である。
気象数値モデルに積雪の圧密モデルを組み込み、陸面との熱エネルギーの相互作用を雪面での熱収支により結合させることにより、積雪量とその水平分布を得るだけではなく予測も可能になる。
本研究では、気象数値モデルに組み込み可能な積雪圧密融雪モデルの開発と検証を行った。
具体的には、融雪の再現性のよいdegree hour法による融雪モデルと積雪の圧密モデルを組み合わせ、圧密モデルの検証と気象モデルに組み込むのに必要な広域での検証を行い、その後、気象数値モデルと陸面の熱エネルギーの相互作用を結合させるのに必要な熱収支法を用いた融雪モデルを圧密モデルに組み合わせたモデルの検証を行った。
検証方法は、融雪モデルにdegree hour法を用いた積雪圧密融雪モデルに、森林総合研究所・十日町試験地と、防災科学技術研究所・長岡雪氷防災研究所の2000-2001年冬季の観測データの風速、降水量、気温、積雪深を入力し、積雪深、融雪量と積雪層の密度を比較に使用して検証を行った。
そして、モデルが広域で適用可能であるか北陸地方のAMeDAS観測点データ(1997−1998,冬季)の風速、降水量、気温、積雪深を入力に、積雪深を比較に使用して検証を行った。
その後、融雪モデルに熱収支法を用いた積雪圧密融雪モデルの検証を十日町試験地と長岡防災研究所のデータを使用して行った。
融雪は、雪面での熱収支による表面融雪とした。
入力データに正味放射量、風速、気温、降水量、湿度と用い、比較に積雪深を使用した。
結果は、融雪モデルにdegree hour法を用いた積雪圧密融雪モデルは、十日町試験地試験地での計算でよい一致が得られることを確認した。
そして、AMeDAS観測点データ(1997−1998,冬季)を用いた広域での検証の結果は、積雪のある期間内の平均値を期間平均とすると、期間平均風速2.1(m/s)以下、期間平均気温が5.5(℃)以下、標高70(m)以上の観測点での計算では積雪深の計算値と観測値はよい一致が得られるため、圧密モデルがこの条件に当てはまる地域では広域で計算できることが確認できた。
融雪モデルに熱収支法を用いた場合でも計算できることを確認した。