Nyamaa Ganbaa
小型FWDの開発と評価に関する研究
最近では路床、路盤の支持力を簡便にかつ経済的に管理することを目的に小型FWDが開発された。舗装用のFWDは重錘落下により5t以上の衝撃荷重が得られる大型なものであるが、小型FWDは持ち運びが容易で迅速な測定が可能であり、短時間で多数点の測定が可能である。
しかし、その試験方法および測定データの取扱い方法についてはいまだ検討段階にあるのが現況である。小型FWDは変位計が載荷点直下にしかなく、舗装用FWDとは異なる方法で路床、路盤を評価する必要がある。そこで本研究では、小型FWDの測定によって得られる一組の荷重とたわみデータを用いて路盤、路床を合理的に評価することを検討した。本研究の目的は、小型FWDによる測定データから路床、路盤の支持力性能を推定し、基準値を満たしているかどうかを判断する、評価方法を開発することである。小型FWDによる測定では、測定表面に加える荷重と載荷板中央の変位のみがそれぞれ得られるが、これら一組のデータから路床、路盤の個々の強度を推定する必要があるため、ここでは動的な波形データを使用したFEM解析によってそれぞれの強度の推定を試みた。いくつかの路床面及び路盤面において、小型FWDによる測定と平板載荷試験による測定を実施して多くのデータを収集した。試験地盤を路盤と路床の2層系弾性体としてモデル化し、小型FWDによる荷重波形データを与えたとき、得られる変位の波形が実測値と近似するようにモデルの弾性係数を選定して、路床と路盤のそれぞれの強度を推定した。そして、そのモデルに対して平板載荷試験と同じ静的荷重を与えたときに、得られた変位が実験結果と大きな差が無いことを確認した。実際の現場において、小型FWDによる路床、路盤の管理及び評価を考えた場合、FEMで動的解析をするといった煩雑な手続きは実用的ではない。そこで本研究では、小型FWDによって測定される変位のピーク値から、その路盤が所定の基準を満たしているかどうかを判断するたわみ基準を考案し、提案した。コンクリート舗装要綱には、路盤表面の支持力がK=196MN/m3以上必要という基準があるので、各路盤厚に対する支持力がこの基準値となる舗装構造のFEMモデルを作成し、小型FWDの荷重波形を与えた場合の変位動的順解析により求めて、その変位を基準とした。そして、種々の荷重レベルに対する変位をまとめて評価基準のノモグラフを作成した。以上の検討に基づいて、たわみ基準によって概略の評価を行い、必要に応じてFEM逆解析によって路床、路盤を合理的に評価出来る方法を提案した。