地方都市郊外部の大規模住宅団地開発と周辺環境に関する研究
デイラファン ヴァン
日本では、昭和30年代からの経済の急成長と人口増加に伴い宅地開発が課題であった。この課題を改善しようと昭和43年に(新)都市計画法が制定された。しかし、モータリゼーションの発展や道路網の整備、そして地価高騰等の影響を受け、既存の市街地よりもさらに外側へ都市が拡大し、都市郊外化が急速に進んだ。
過去の日本と同様に、現在多くの発展途上国が急激な人口増加のために、無計画な都市開発を進めている。近年、母国ラオスでも急激な人口増加が見られ、郊外部での団地開発によるスプロール的な市街地形成が急増している。これからの成長のために、より快適性と利便性が図れるような郊外部宅地開発のあり方を研究の目的とする。
これを実現するために本研究は、地方都市で開発された大規模郊外団地を対象に、まず、団地開発前の地形・開発方式・アクセス道路の本数を基準に住宅開発の実態を把握し、特徴的な団地を対象に団地開発前後の団地周辺道路網の変化を分析した。その結果とラオスの現状を指標として仙台市といわき市にある10の団地を詳細分析対象団地と選定した。
仙台市といわき市で開発された郊外部大規模住宅地のほとんどが同じ幹線道路を中心へのアクセスルートとしている。昭和60年からの交通量データによると、一日に団地に出入りする自動車の数は団地人口を上回っていることがわかり、団地から幹線道路へのアクセス道路と中心に向かう幹線道路で年々渋滞が激しくなっていることがわかった。また、アクセス道路や幹線道路沿線で沿道商業や小規模開発が進んでいることがわかった。さらに行政の計画方針を分析した結果、市街化拡大が目的で郊外部大規模団地を誘導してきたが、周辺との一体化が図られていないことがわかった。
郊外大規模団地開発を抑制するのではなく、良好かつ中心市街地と一体となるような開発を行うためには、さらに国の宅地開発に関する法律で開発規制をより細かく厳しく規定する必要があり、宅地開発は地方によって異なる工夫が必要であるため、細かい現状を把握している自治体が望む開発を自治体で決められるような権利を与えるべきであると考えられる。また、各自治体も宅地開発要綱での開発方針を厳正に定めるべきである。