地方都市中心部における低未利用地化の実態と有効利用方策に関する研究

仲条 仁




 近年、多くの地方都市における中心市街地の衰退は、駐車場や空地、空き家、空き店舗、空きテナントなどの低未利用地の増加という形で顕在化している。中心市街地における過剰な低未利用地の存在は、住機能や商機能、その他様々な都市サービス機能の喪失を意味し、それらが総じてまちのアメニティを損なわせている。将来の社会情勢変化に対応した持続可能な都市をつくるためには、低未利用地の有効利用によって、上述の負のスパイラルを止め、土地利用を流動化させることで中心市街地を蘇生・再構成していくことが重要である。
そこで本研究では、地方都市の長岡市を対象として、低未利用地を定量的に把握すると共に、低未利用地化の実態を解明すること、低未利用地の有効利用方策について検討することを目的とする。

 まず、長岡市中心部(1970.DID,1000ha)で、低未利用地の代表である平面駐車場を対象に、'80,'90,'00年次の分布状況を調査し、'80年からの20年間で平面駐車場は実に3倍に増加していることを明らかにした。さらに都心部(駅西側の商業地域)で、駐車場に加えて空き地・空き家も対象とした低未利用地を調査した結果、可住地面積(18ha)の約3割(5.4ha)を低未利用地が占めており、その低未利用地の8割以上(4.4ha)が平面駐車場であることが分かった。

 さらに、低未利用地化のメカニズムや有効利用方策の検討を行うため、地権者に対してアンケート(回収98敷地)およびヒアリング調査(実施21敷地)を実施した。これをもとに、対象とする低未利用地について、低未利用地に至るまでの土地権利の動向と低未利用地化の時期との関係からパターン分類を行い、さらに低未利用地化の要因では、隣地購入型、建替え-一体整備型、移転P化型、建物不要型の4類型に分類し詳細に分析し、低未利用地化の実態を明らかにした。
共同住宅、立体駐車場、定期借地、戸建て借家を有効利用方策例としてコストシミュレーションを行い、その採算性を検討した結果、共同住宅が平面駐車場よりも高運用率(14万円/年)であったが、地権者にとって管理等が問題となって実現性が低いと分かった。また共同住宅建設の補助制度である特優賃は、その問題点に対処するものではないため、地権者の評価が低く、他の制度も合わせて今後の対応を考慮する必要がある。