地方小規模都市の中心市街地活性化に関する研究
恩田正人


近年、中心市街地の衰退が深刻化しており、中心市街地の衰退への対応として、様々な施策が実施されているが、あまり効果があがっていないのが現状であり、中心市街地の活性化に有効な対策を探れずにいる。この状況を背景に、中心市街地活性化法の施行によって、中心市街地の活性化を図ろうとしているが、財政規模などからできる施策が限られるであろう小規模都市にとって、その内容は、あまり使い勝手の良いものではないと思われる。
そこで研究では、小規模都市に着目して、都市の抱えている問題点を明らかにするために中心市街地の衰退状況を居住機能の密度構造の変化等により把握し、中心市街地活性化基本計画策定済み自治体の課題や事業内容等の計画内容を整理し、自治体の活性化への取組や意向を調査することで、小規模都市の中心市街地活性化の課題を明らかにすることを目的とする。
まず、中心市街地活性化基本計画(以下、基本計画)策定済みで、人口規模5万人未満の地方都市15市の基本計画を読み込み、各都市の課題、事業内容、課題と事業内容の乖離について分析を行った。その結果、@ソフト事業は短期、ハード事業は長期に多く実施が予定されていること、A中心市街地活性化の課題に都市毎の違いがないこと、B課題や構想に対する乖離はなく事業内容がすべての課題に対応しているが、長期に対応する取組が多いことを示した。また、中・大規模都市の取組内容と比較した結果、中・大規模都市では土地区画整理事業など開発型の事業が多く、小規模都市では観光資源等の開発などソフト事業に取組んでいる都市が多いことから、商業以外の魅力を向上させて活性化を図ろうとしていることを明らかにした。
次に糸魚川市、新井市、十日町市を対象に、都市構造の変化を分析することで、中心部の衰退状況を把握し、人口や商業機能、公共施設など様々な機能が中心部から郊外に流出していることを明らかにした。これが衰退の要因の大きな部分である
さらに活性化への意向を調査することで、@実施したい・必要なものをすべて盛り込んだ事業内容であることから、実現可能性のある事業、必要な事業はすべて盛り込んでおり、基本計画に盛り込めなかった事業はないこと、A中長期の事業は事業化の予定がなく、中心市街地の衰退に十分な対応が取られていないこと、B中心市街地活性化法にある支援メニューに対する不満は少なく、若干の要望があることが分かった。