堀 昭広
平休日間の相互関係を考慮した交通行動分析
近年人々の生活意識の変化や余暇時間の増大によって買い物,レジャー等の自由活動のための交通が活発化し,それに付随する各種交通問題が休日を中心に顕在化するようになり,交通計画において休日交通にも対応することの必要性が高まってきている。これに伴い,休日の自由活動交通について分析や予測モデルの構築を行うことの重要性は増大している。また,これらの分析や予測を行なうには,自由活動が非定型的で個人による意思決定の自由度が大きいことから,自由目的以外の活動との関連や個人の時間的制約条件等を明確に考慮するアクティビティ分析的な立場からのアプローチが必要である。
そこで,本研究では,平日と休日での活動形態が異なると思われる就業者を対象にし平日と休日に行う自由活動の相互関係を同一個人の平日と休日の交通実態のデータ(長岡都市圏パーソントリップ調査データ,サンプル数3675,平成11年11月)を用いて,同一個人の平日と休日の自由活動トリップ生成に関する分析を試みた。
仮説として,個人は平日か休日かを問わず自由目的活動に対する「活動意欲」なるものを有しており,個人属性等に対応して個人間で異なるものと考え,その関係を共分散構造モデルを用いてその構造および影響要因の分析を試みた。
共分散構造方程式モデルは,モデル構築者が考えた仮説をモデルとして表すことで自分の仮説がデータと一致しているかを統計的に検証できるため,本研究のような平休日間にある要因を探るのに有効な分析方法のため用いた。
多くの試行錯誤をした結果,個人は平休日に共通する自由活動に対する活動意欲を有していること,平休日間における自由活動の相互影響としては,平日に自由活動は休日の自由活動を考慮している自由活動の実行を行っていること。その一方で,休日に自由活動を実施する場合は平日の自由活動を考慮して実行していることがわかった。また,自由活動トリップ生成に与える要因として,車の保有や免許の保有といった交通条件が良い人は自由活動を行なう傾向にあること,休日の固定活動トリップ数が減少することで休日の自由活動トリップが増加する傾向がわかった。
これらの結果から,個人の生活の質の向上により休日の発生交通量が増加する可能性があることが認められた。