一槽間欠曝気式膜分離法における曝気サイクルと容積負荷が
窒素除去と膜透過性能に及ぼす影響

廃棄物・有害物管理工学研究室  友平 尚男
指導教官  小松 俊哉 桃井清至 姫野修司


 富栄養化現象防止のため、標準活性汚泥法よりも高い窒素除去率が得られる高度処理が必要とされている。しかし、高度処理を行なう場合、処理面積が広大となる、維持管理の煩雑化といった問題がある。このため、コンパクトな処理装置で高度処理を行なうことが求められており、一槽間欠曝気式膜分離法が注目されている。しかし、本法における曝気サイクルや容積負荷が窒素除去能・膜透過能に及ぼす影響については十分に検討されていない。

 そこで本研究では、一槽間欠曝気式膜分離装置における窒素除去能と膜透過能に及ぼす影響を検討することを目的に、曝気サイクル、容積負荷、汚泥負荷に着目し、設定膜透過流束を保つため毎日のスポンジによる膜洗浄及び、操作圧力の調節を行ない、30日間の連続運転を行なった。実験条件は、曝気サイクルを@30分曝気:30分曝気停止、A30分:15分、B15分:30分、C15分:15分の4条件、容積負荷を0.5、1.0[kg-TOC/m3/day]、容積負荷1.0で汚泥を引き抜かないClosedシステムについて行なった、その結果以下の知見が得られた。
1)窒素除去に及ぼす影響
4条件の曝気サイクルで運転した結果、曝気停止後、溶存酸素が完全に消費されるまでに10分程度必要とした。このため、間欠曝気式において曝気停止時間が15分では無酸素時間が不足し、処理水中に硝酸性窒素が残存するため、曝気停止時間は30分程度必要である。また、窒素除去率も@88%、A74%、B86%、C82%と、曝気停止時間が短いAの条件で低い結果となった。
容積負荷を高めることで、汚泥の処理限界を越え硝化反応が十分に進行せず、処理水中にアンモニア性窒素が残存し除去率が73%と低下した。しかし、Closedシステムで行なった結果、十分に曝気されれば窒素除去率は85%程度まで上がり、良好な処理水質が得られることがわかった。
2)膜透過能に及ぼす影響
設定膜透過流束(0.37m/day)に保つため、膜透過流束が低下すると操作圧力を上昇させる必要があり、その結果膜面付着物量の増加及び圧密現象により強固な目詰まり抵抗物質となる。
汚泥負荷の高い条件では操作圧力が35[kPa]まで上昇し、設定膜透過流束を維持することが出来なかった。これに対してClosedシステムでの運転では10[kPa]程度と低い値であった。これは、汚泥負荷が高い条件では汚泥の凝集性、沈降性が悪化し、活性汚泥に吸着・貯蔵されている有機物量が多くなるため汚泥の粘性が増し、膜面に強固な付着層を形成することが考えられる。これに対してClosedシステムでの運転では、汚泥の粘性が低く保たれ、付着力の弱いケーキ層が膜面をコーティングし、粒径が0.1〜1μm程度のコロイド状物質の膜面への堆積を防ぎ、膜透過流束の低下が抑制されることが考えられる。